2014年10月12日
山村が疲弊している。若者に戻ってきて欲しい。それには、文化に基づいた、地域活性化による生産性向上と内需拡大、とこれによる地方からの人口減克服、国内の内在的力を生かして国の借金を減らすと同時に国土の均衡ある発展をはかるシステムを作り出すことが必要である。この研究がその一助となる。
大学、大学院 時代、宮本常一先生、川喜田二郎先生の指導、薫陶を得、北海道アイヌ、北上山地、飛騨山地などの山村振興調査や九州山地、四国山地、紀伊山地の山村生活調査をしてきた。
その中で飛騨のわらび粉に出会い、今迄の調査成果をわらび粉生産復活に収斂させる。現在、現地のNPO法人に加わり、わらび粉生産会社を立ち上げようとしている。文化の価値に注目し文化の再生を地域活性化の核にする試みである。1990年度 第4回 日本民具学会研究奨励賞受賞「ワラビの地下茎採取活動」(『民具マンスリー』第22巻7・8・9号、1989所収)
廃れてしまった 伝統文化であったわらび粉生産 であったが、 新産業であるわらび粉生産の会社設立は、村民の雇用と新しい文化の再生をもたらし、6次産業化により新しい文化を創生する。出資金を集めて配当金を出す事によって村落共同体を強固なものにする。これによって 東京、 京都などの外の世界との結びつきによる孤立化の阻止と住民間のコミュニケーションの増大を計れ、若者の関心を引きつける。
アイヌ社会が苦悶している。低生産性や就学問題である。アイヌ社会自立のために核となるアイヌ美術・工芸の振興や差別の解消のために京橋にギャラリーを開廊した。
大学時代に萱野茂さんの著作である『アイヌの民具』の実測図作成のお手伝いをし、建築学科の学生であったため卒業制作にアイヌの聖地である二風谷の工芸学校を中心とした山利用を含めた都市計画を考えた。アイヌの文化と未来を考えることがギャラリー開設の契機になった。
結果、経済産業省の伝統的工芸品の指定を受け、さらに北海道立近代美術館においてアイヌ美術・工芸品展開催に結びついた。さらにアイヌの若者がギャラリーにおいてこぞって作品展を開くに至って文化の継承がうまく行っている。美術・工芸が民族自立の核になるだろう。
バブル期に地上げに遭い嫌がらせを散々された。これを逆手に取り、嫌がらせの正体を探ると社会の闇が現れた。その原因である差別解消を目指す。社会の闇の原因である民族的、歴史的、などの差異を越えて信じ合えるやさしい社会を作るために、悪いことは悪いと認め、当事者間が社会的存在になり、お互いを認識し互いの立場を理解することにある。
新しい文化創生の立場に基づいて、学問の成果の社会化を通して日本橋三越と共に、販売において文化の付加価値付けによる百貨店の価値の向上を計り、消費という経済を大きくするという実践的取り組みを行っている。
杉山是清の日本橋三越ブログより抜粋「魚離れ、米離れがいわれてます。関係者の努力が足りないこともありますが、日本人が魚、牛、野菜に対する敬意の念を失ってしまってるからではないでしょうか。これらは、農耕儀礼や豊漁・安全祈願の簡素化に現れます。文化離れです。
日本橋三越は新しい文化を作ってください。神田明神の祭礼にあわせて、生き物に対するお礼の意味で大安売りをしたらどうでしょうか?それこそ本来の意味のお祭りです。生けとし生けるものを活かすことです。食品、服飾、美術・工芸品、旅行などデパートは文化の殿堂です。文化の探求を日本橋三越の経営の柱としたらどうでしょうか?見えないこと、新しいアイデアが湧いてくるでしょう。
日本の新しい文化を創造してください。」
山村振興や異文化の振興と日本橋三越における活動は、文化の価値に注目し、文化の再生を地域活性化の核にし、新しい文化の振興と創生により、文化による国の経済への付価値付けするという文化の新しい価値を見いだすことで、経済を大きくし、差別の解消という、文化の持つ人間愛の醸成を併せ持つことによって、文化も発展し、文化国家日本を目指す。
杉山是清