2015年7月23日
山村の共有牧野という歴史的文化景観の復元とその活用による新しい価値軸の創出
-山村における、わらび粉採取などをめぐる中世以来の共有牧野の生態系の活用と住民参画の共同化による、社会保障の構築-
本研究は伝統的な価値軸を現代にあわせて創出しなおすことを目的に、山村における中世以来の共有牧野の有効活用を通して山村の危機を救おうという試みである。 牧野の共有地としての中世からの歴史文化価値 の評価を最大限生かして、生産される産物や、産物間の緊密化による生態系の高度利用化によって山村の生産性をあげること、また、村人皆の力を生かしての共有地ゆえの共同作業や共同経営などによる共同体醸成を目的とする。放牧地で採取されるワラビ根によるワラビ粉生産の復活は、 伝統的文化価値の評価による収益をもたらし経済価値を生む。放牧地は、野草、牧草、ワラビなどの植生による中世からの文化的景観であり、これらの価値を現在に生かし、良質の牛をも生産する。言い換えれば、歴史遺産である牧場の文化景観としての生態系の再生と、共同体を住民組織として現代にも生かすという、物心両面にわたる、山村の社会保障の構築である。これらは、山村調査により、調査、施策の考案の拠点に山村振興研究所を設立する。これらの取り組みは、文化の価値という新しい価値軸の創出によって社会保障を生み出す役割を持ち、文化国家建設考察の一助となろう。